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相続Q&A

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不動産関連

葬儀について

葬儀代(葬式費用)の支払いは誰がするのですか?

 定まった考えはなく、いろいろな説があるものの、有力なのは「喪主が払う」という考え方です。
 葬儀会社、規模などを決定するのは結局喪主であることが大きな理由になるでしょう。喪主は、故人とのかかわりが深かった人でしょうから、故人の生前に、他の相続人より優遇されていることも多く、そのような事情とのバランスで喪主負担と考えているのかもしれません。
 逆に言えば、こうした事情があてはまらない事案などでは、再検討の余地もあるかもしれません。
 私の経験では、少なくとも調停(裁判所での話合い)においては、喪主負担一辺倒ではなく、相続人で頭割りにする、相続でもらえる財産に応じて葬儀費用を一部ずつ負担してもらう、相続財産から支出するといった解決でまとまることもそれなりに多いと思います。調停がまとまらず、地方裁判所で葬儀費用の負担者を定めるとすれば、喪主負担という考え方がそれなりに強いと理解していただければよいと思います。

葬儀費用は遺産総額から差し引きできますか

 葬儀費用は、故人が亡くなった後に発生する費用です。相続は、故人が死亡したときの財産の行先について検討するものです。葬儀費用は、「死亡後」のお金であるため、本来、相続の問題ではなく、純粋に(相続に関係なく)だれが負担すべきものかという問題になります。
 とはいえ、実際は、相続の話合いの際にお話しして、まとめて解決していることも多く、話合いが成立するのであれば、遺産総額から葬儀費用を差し引く処理をしても、問題ありません。
 判決とか審判とか、話合いではなく裁判所に決めてもらわなければ解決できないという段階に至ってしまった場合には、相続の問題としては扱われないため、遺産総額から葬儀費用は差し引きはできません。
 なお、税務上は、「税金を負担する力があるかどうか」に着目して検討するため、葬儀費用を支出すると税金を負担する力は減るよねと理解して、遺産総額から葬儀費用を差し引いて計算することが認められています。

香典は誰のものですか?

 香典は喪主のものです。
 相続は「故人が死亡したとき」の財産の行先を検討するものですが、香典は「故人の死亡後」にいただくものですので、相続の問題とは別個の問題です。
 一般的には 喪主の負担を軽くするという相互扶助の精神に基づき、葬儀費用の一部に充ててもらうために贈られるもの、と考えられています。
 つまり、香典は、葬儀の主催者である「喪主に対する贈与」と理解されるものです。贈与していただいた喪主のもの、になります。

相続手続きについて

相続手続きはいつ頃から始めればいいでしょうか?

 相続は、故人の死亡によって、開始します。いつから始めなければならないという決まりはありませんが、できるだけはやくから着手する方がよいでしょう。
 相続放棄は3か月以内、準確定申告は4か月以内、相続税申告は10か月以内、遺留分侵害額請求は1年以内など、期限が定まっている制度もありますが、意外とこうした期限はあっという間に来てしまいます。
 初七日、四十九日など、ある程度ご供養に区切りがつくまでは、なんとなくお金の話はしづらい、すべきでないという考え方もあり、それ自体は配慮あふれる日本人のよいところでもあると思うのですが、相続手続の関係では、支障が生じることも少なくないです。
 たとえば、故人に借金がたくさんある、または借金の有無がわからないときなどは、相続放棄の検討をせざるを得ませんが、四十九日後に検討を始めると、それだけで故人の死亡から2か月弱の日数が経過しているわけですので、3か月のタイムリミットが近づいていることが多い。相続放棄のために必要な戸籍集めなどは大変なこと、時間が掛かることも多く、できるだけはやめに着手をしておく方が望ましい、ということになります。

不動産や預金、株等の名義変更はどうすればよいのでしょうか?

 不動産は登記手続が必要です。相続人全員の実印を押印し、各印鑑証明書を添付した遺産分割協議書などが必要になります。
 有効な遺言がある場合は当該遺言をもとに登記手続をすることになるでしょう。
 登記のことについては司法書士が専門ですので、相談してみるとよいでしょう。
 預金や株などについては、金融機関ごとに取り扱いが異なるときもありますので、基本的には、各金融機関に問い合わせて、必要書類、段取りなどを整えていくことになります。
 こうした手続は意外と煩雑ですので、弊所では手続をトータルにサポートするプランも用意しております。弁護士は「トラブルになったとき」だけ出てくるようにも思われるかもしれませんが、「煩雑な遺言内容の実現のための手続」のお手伝いもできますので、ぜひご相談ください。

遺産相続に期限はあるのでしょうか?

 相続そのものに期限はありません。実際、期限がないゆえ、何代も前から、特に不動産の名義変更が放置されて、問題がどんどん大きくなっていき、処理に非常に困る事案も散見されます。
 トラブル回避のためには、相続が発生したらすみやかに処理をするのが望ましいことは言うまでもありません。問題回避のため、2024年4月1日以降は相続登記が義務化され、相続で不動産取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならなくなる予定です。
 こうした報道をみて、子ども達に負の遺産は押し付けられないと、相談に来られる方もおられます。遺産相続を放置していると、本来は「お金を払え」と請求出来たものが難しくなったり(消滅時効の問題)、放置していた財産を長年占有している人から「俺のものだ」と主張されたり(取得時効の問題)といった問題も生じ得ます。
 相続の処理には「お金が掛かるから」と言われる方もおりますが、放置して問題が大きくなった状態で処理する方が、お金も、時間も、手間も掛かることが多いですから、専門家に相談するなどして、コストパフォーマンスを考慮するとなおさら、できるだけはやめの対応を心がけていただいた方がよいと思います。

生前対策について

私には子供がいませんが、私が死ねば誰が私の財産を相続する権利があるのでしょうか?

 まず、有効な遺言があれば、故人の意思を尊重し、遺言で示された方が財産を引き継ぐことになります。
 遺言がない場合、法律上、相続人は定まっていますので、当該法定相続人を検討することになります。配偶者は必ず相続人になり、そのほか、①子ども、②子どもがいなければ(亡くなってしまっていれば)直系尊属(親のことと思っていただいて結構です。)、③子どもも直系尊属もいなければ(亡くなってしまっていれば)兄弟姉妹、とされています。
 もし、ご自身が意図しない方に財産がわたってしまうとお感じになる場合は、遺言等の生前対策が可能ですので、専門家に相談してみましょう。

夫が5年前に亡くなり、子供もいません。自分の死後、面倒を見てくれた夫の妹夫婦に財産を残したいのですが、今からできることはありますか?

 奥様との関係で、夫の姉夫婦は法定相続人ではありませんので、奥様の希望をかなえるためには、対策が必要です。
 生前贈与によりお金を渡すという手段もありますが、贈与税がかかる可能性がある上、自分の存命中にお金が出ていくことになりますから、ご自身の生活に支障を来さないかを考えておく必要があります。
 自分が亡くなってしまったときに財産を受け取ってほしいという場合は、遺言を用意するという方法があります。
 死亡保険の契約をして、受取人を夫の姉夫婦にするという方法もあります。死亡保険には相続税の非課税枠が用意されており、節税も検討できます。
 さまざまな方法が考えられ、それぞれメリット・デメリットがありますので、どういった手段を用いるか、複数の手段を併用することも含めて、専門家に相談の上、よく検討しておくとよいでしょう。

親が認知症になったら資産管理はどうすればいいですか?

 後見等制度を利用することになります。体が不自由になったら、ヘルパーさんに助けていただきますよね。認知機能、判断能力、財産管理能力に支障が生じた場合は、後見人等に助けていただくことになるわけです。
 実際は、事実上、同居のご親族等が管理している例が多いですが、トラブルのもとです。親の財産といえど「他人の財産」という心構えで対応しないと、後々、相続の際などに、その管理の適切性、使途不明のお金をめぐって、大きな争いになることがしばしば。自分の財産と混ざってしまったり、お金の動きに関する記録が甘かったり、後に使途の説明ができなかったりと、どうしても管理が甘くなってしまいがちなので、家庭裁判所が選任した後見人等が、家庭裁判所や後見監督人等の監督を受けながら、適切に財産管理をすべきです。
 制度の利用がすすまないひとつの理由として、家庭裁判所が後見人等を選任しますので、本人も想定していなかったであろう第三者が財産を管理することになり得る点に抵抗があるようです。本人が認知症等で判断能力がなくなる前であれば、任意後見契約を利用することで、いざ判断能力がなくなってしまった際に、本人の希望する方に財産管理をしていただくことが可能になります(ただし、家庭裁判所や後見監督人の監督は入ります。)。
 同じく判断能力がなくなる前であれば、家族信託を利用する方法もあります。本人(ここでは親)(委託者)が、信頼できる方(受託者)に財産を預けて管理してもらい、その利益は本人(親)が受ける(受益者)という内容の契約をしておくことで、いざ認知症になった際に、信頼できる方(受託者)が財産管理を担えるという制度です。判断能力がなくなってしまうと、本来は本人名義の不動産も売却できませんが、家族信託をしておくことで、信頼できる方(受託者)において処分することも可能になります。柔軟な設計が可能な家族信託ですが、法的にさまざまな問題も含んでおり、やり方を誤ると無効になってしまうリスクもあるため、専門家に相談することは欠かせないと思います。

遺言について

遺言に有効期限はありますか?

 ありません。
 なお、あまり長期間利用しないままで放置しておくと、特に自筆証書遺言は紛失や破損のおそれなども高まりますから、被相続人の死亡後、すみやかに遺言内容の実現に取り掛かるべきと思います。

遺言は、訂正や取消し(撤回)ができますか?

 訂正はできますが、①訂正・変更箇所の明記、②訂正・変更を行なった旨の付記、③付記部分への署名、④訂正・変更箇所への押印が必要と、その方法は非常に厳格に定められており、何か特別の理由がない限りは、遺言書に訂正が必要なものが出てきた場合、一から書き直すことをおすすめしています。
 1度書いた遺言を取消し(撤回)することも可能であり、複数遺言がある場合は、最も新しい遺言が有効です。
 疑義が生じないよう、前の遺言を撤回して新しく遺言を作成する場合には、新しい遺言に、前の遺言を撤回する旨を明記しておいた方がよいと思います。

遺言はいつ用意すれば良いですか?

 思い立ったが吉日です。
 よく、「私は元気だからまだはやい」とおっしゃる方がおられ、その気持ちもよくわかりますが、遺言書は認知症などで判断能力を失うとそもそも書けなくなってしまうので、むしろ、「元気なうちしか書けない」と理解いただきたいものです。
 いわゆる「遺書」であれば、死ぬ間際に残す言葉ということで理解はできますが、法的な意味での「遺言書」は遺書とは異なるもので、万が一にでも紛争を避けるためなど、元気なうちに将来をみすえて検討するものですから、「書いてみようかな」と思ったタイミングを大事にし、その時々の想いを書面にしたためていただければよいのではないかと思います。
 「いやいや、また気が変わるかもしれないし、やはり今書いてもね」とお考えの方は、気が変わったらその都度遺言書を書き直せばよいのです。遺言書は、人生の終焉にかかる準備をしていくなかで、心配事を払しょくして、「今」を充実させるためのツールなのですから、上手に活用していただきたいものです。

夫婦に子どもがいない場合に遺言は必要?

 できる限り遺言書を作成した方がよいでしょう。
 子どもがいない場合、たとえば夫が亡くなったとき、夫の両親が健在であれば、妻と夫の両親(義理の父母)とで遺産分割をしなければならず、何やら気まずくないでしょうか。
 夫の両親がなくなっている場合は兄弟姉妹が相続人になりますが、一般に、人が亡くなる位の年齢の方の兄弟姉妹というのは、兄弟姉妹の方も亡くなっている方がいるなどして、相続人が芋づる式に増え、多数当事者で遺産分割をしなければならないこともしばしばです。人が多くなればなるほど、1人くらいはへそ曲がりな方がおられたりして、なかなかスムーズな遺産分割ができないということもよくあります。
 このように、子どもがいない事案というのは、類型的に後々揉めやすい素地があるわけですので、遺言書により本人のご意思を明確にしておくことが有効であると言えます。

遺言書が出てきたら、まずどうするべきですか?

 自筆証書遺言(法務局に預けていない場合)であれば、検認の手続が必要です。
 つまり、家庭裁判所に申立てて、遺言書の確認をしていただく必要があります。これは、一種の証拠保全的な手続で、家庭裁判所に確認いただいて以降、改ざん等はできないことを担保するためのものと考えていただければよいでしょう。そのため、遺言が有効であることなど、なかみを担保するものではないことに注意が必要です。
 通常、相続人を呼び出して、出席者の前で遺言を確認し、裁判所次第ですが、筆跡はだれのものか、見覚えがあるか、どこに保管されていたのか、だれが保管していたのか、どうやって見つけたのかなどを出席当事者に確認していき、調書(議事録のようなもの)に記録していくという作業になることが多いです。
 公正証書遺言の場合、法務局に預けている自筆証書遺言の場合は、いったん公証人や法務局といった公的機関が確認しているため、検認をする必要がなく、被相続人の死亡後ただちに遺言の実現のための作業に入ることができます。

複数の遺言が見つかりました。それぞれの遺言の効力はどうなりますか。

 最も新しい遺言が有効になります。
 各遺言の効力関係は、新しい遺言の解釈問題(前の遺言内容も活かしながら補足する趣旨で書かれた遺言書なのか、前の遺言は完全に撤回して新たな遺言書の内容だけが適用されるのかなど)によりますが、特段各遺言の効力関係が明記していなければ、通常は、前の遺言は取消し(撤回)して、新しい遺言内容のみが有効として解釈することが多いのではないかと思います。

不動産関連

不動産全般について

土地を相続し相続登記しなかった場合、どのような不都合が生じますか?

 まず、法定相続分を超えた分の権利の取得について第三者に主張をしたくても、登記をしていないと、法定相続分を超える部分は第三者に権利を主張できないという不都合が生じます。令和2年4月の相続法改正の際に、たとえば相続させる旨の遺言などで権利を取得した場合、それまでは登記がなくても主張出来ていたのが、法定相続分を超えた部分の権利の取得は登記が必要と改正されましたので、注意が必要です。
 また、相続登記をしないまま放置をしておくと、今度は当該相続人が亡くなるなどして、どんどん関係者が増えていきます。人が増えれば増えるほど、遺産分割は原則として全員の合意が必要であることから、誰か1人でも反対の意向を示したり、そもそも意思表示ができない状態になっていたりして、処理が著しく困難になる可能性が高まります。そうすると、面倒なので、また放置をしてしまう…という悪循環に陥ってしまうことになります。
 相続の対応は、そのときどきに適時に行うのが1番です。相続登記をせずに問題が広がってしまっている段階においては、調停に代わる審判、審判、時効取得など、何らか手段がないか、専門家に相談してみるとよいでしょう。

自宅の評価の仕方はどのようにするのですか?

 遺産分割時の時価で評価するわけですが、これが難しく、一般的には、固定資産税評価証明書などの公的書類を参考にしながら、合意の形成に努めることになります。
 どうしても評価で争いが収まらない場合は、最終的には、裁判所の鑑定による場合もありますが、かなりのお金がかかるため、できる限り避けるべきと思います。

配偶者居住権とは何ですか?

 配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に、亡くなるまで又は一定の期間、無償で居住することができる権利です。
 登記することで第三者にも主張ができます。
 これまで、配偶者が被相続人と同人名義の自宅不動産に住んでいた場合などで、いざ遺産分割の局面になると、計算上、多額の代償金を支払わないといけなくなるケースが生じ、同居配偶者の生活の基盤が危うくなる事案も散見されていました。そこで、不動産の「所有権」と「居住権」をわけ、配偶者が所有権をもたずとも、居住権をもつことで、被相続人の不動産に住み続けることができるようにした制度です。

複数人で不動産を相続した場合不動産をどう分割すべきですか?

 遺産分割の際、あまりおすすめしませんが、複数人が不動産の名義人になった状態(共有状態)で分割することもあり得ます。
 たとえば、①同居している親子が相続人の場合や、②同居している被相続人の配偶者及び被相続人の両親が相続人の場合などが考えられます。
 共有状態のデメリットとしては、最も大きなものとして、全員の合意がない限り売却できなくなることが挙げられます。建物を取り壊して更地にする場合なども基本的に全員の合意が必要です。
 たとえば、②の事例で、不動産の共有名義人になってしまっている被相続人の両親が認知症等になってしまうと、被相続人の配偶者は処分等ができずに非常に困ってしまうでしょう。
 共有状態を解消する手段としては、共有持ち分の贈与を活用して単独名義にすることを目指す方法、共有物分割請求などの方法が考えられますが、そもそも、できる限り共有状態が発生しないよう、その都度都度でよく検討することが必要でしょう。

共有不動産を売却希望ですが他の共有者が同意しない場合にはどうすればよいですか?

 基本的にはどうしようもありません。
 共有不動産を売却するには、共有者全員の合意が必要ですので、合意、同意を得るように働きかけるほかないと思います。
 相手方が応じない場合に、共有状態を解消する方法としては、共有物分割請求、時効取得が可能な場合は時効取得を原因とする所有権移転登記手続請求などの手段が用意されてはおりますが、必ず自己名義で取得できるという保証があるわけでもありませんし、そのような手続をとっている間に、購入希望者を逃がしてしまうおそれもあるでしょう。かなりの手間暇お金がかかるのが通常ですので、あまり現実的な手段ではありません。
 身も蓋もありませんが、その時々で、共有状態を作出しないようしっかりと検討して対応しておくことこそが、遠回りなようで最も適切な方法と言えるでしょう。

自宅不動産を取得したいけれど、多額の代償金を払いきれない場合はどうすればいいですか?

 相続人全員の合意で、代償金の支払いをなしにできるのであれば、それも許されます。必ず法定相続分で計算しなければならないわけではありません。
 不動産以外の遺産があれば、それはほかの相続人に、不動産は私がという方法も考えられます。 自宅不動産の評価が高ければ高いほど、代償金は大きくなるため、不動産の評価はもっと低くすべきだという形で議論する方向性も考えられます。
 配偶者であれば、不動産の所有権ではなく、不動産の配偶者居住権を取得するという方法も考えられます。
 最終的に、多額の代償金を支払えという審判がなされたり、多額の代償金を支払わないと合意による解決が望めないという場合などには、金融機関等からの借り入れに頼ることにならざるを得ないかもしれません。
 もし、取得時効が検討できる場合は、取得時効を原因として、自分のものだと登記することもできるかもしれません(取得時効の場合、相続と違って代償金の問題は生じません。なお、税務上は、一時所得になり、税金はかかります。)。
 事案に応じできることはあるはずですので、専門家に相談してみましょう。

遺産である土地や実家の管理者は誰になるのですか?管理費用は遺産分配の時に考慮してくれるものなのですか?

 遺産である土地建物の管理者はだれだ、と定められているわけではありません。遺産分割するまでは法定相続人の共有状態なので、あえていえば法定相続人のみなさんが管理者となり得るでしょうが、最終的に土地建物を取得する方に利益があるわけですから、土地建物の取得者が管理者になることが多いのではないでしょうか。土地建物は放置しておくと価値が目減りする可能性もありますから、取得者が最も利害関係があり、管理のインセンティブもあるのではないかと思います。
 管理費用(固定資産税、火災保険料、地代・家賃、修繕費などが含まれます。)は、相続開始(被相続人の死亡)後に生じた債務であり、原則として遺産分割の対象となりません。遺産分割は、被相続人の死亡時の財産をわけるものだからです。もちろん、遺産分割協議・調停で、全員の合意により解決を図ることはできますが、1人でも合意に至らない場合は、遺産分割の審判で裁判所に決めてもらうことはできないので(遺産ではないので遺産分割の判断の対象にならない。)、トコトンやるという場合は、民事訴訟で管理費用の負担を検討するほかなくなります。
 以上のとおり、管理費用は遺産分配の時に当然に考慮されるものではなく、しかしみなさんの合意により解決することは否定されていない、ということになります。
 なお、遺産にタダで住んでいる人がいれば、その方は、使用貸借の際の通常の必要費として、費用を負担しなければならないとされるかもしれません。

相続した土地が近隣との境界線があいまいで困っています。遺産の評価にも関わると思うのですが、どうすればいいのですか?勝手に境界線を決めていいのですか?

 少なくとも筆界は勝手に決められる性質のものではありません。
 境界は、①公図上の「筆界」と、②隣地の所有者同士が合意で決めた境界線が「所有権界」という2つのものがあります。①筆界は、既に決まっているもので、当事者の合意によりどうこうなるものではありません。仮にそれがわからなくなったとしても、「既に決まっているものを発掘して確認する」という作業になると思っていただければよいのではないかと思います。②所有権界は、あくまで合意により「ここは自分のものだ」と定めるものであり、その定めをした当事者間では合意に基づき所有権を主張できますが、合意をしていない第三者にそれを主張することは難しい、という性質のものになります。この2つの境界の整理がややこしく、混乱のもとになっています。
 境界票がある場合は、とりあえずはそれを探して協議することも多いと思いますが、遺産の評価にかかわるから境界をはっきりさせたいという場合、①筆界の特定を図るのが有益と思います。筆界が分からない場合、筆界特定制度を利用するとよいでしょう。裁判手続とは別途の、法務局に申請する手続です。裁判手続に比べればリーズナブルにできますし、筆界調査員の意見を踏まえた検討をすることができるのも特徴です。ただ、この手続で確認した筆界は、最終的に裁判所で確定させたものではありませんので、紛争が解決しない場合は、裁判手続による解決を図ることになり、①境界確定訴訟と②所有権確認訴訟を一緒に起こすことになるのではないかと思われます。

遺産となったマンションに亡き父の同居人(後妻)が住み続けています。もし自分が実家を遺産として取得した場合はマンションを売却したいと考えていますが、立ち退かせることはできますか?

 難しいのではないでしょうか。
 一般に、被相続人の配偶者の居住の確保は、被相続人の最も愛おしい人というべき妻の生活の基盤を確保するものとして、重視される傾向にあると思います。
 配偶者がマンションを独り占めして所有権を取得する場合、代償金が必要ではないかという問題はありますが、配偶者居住権という制度も創られています。
 遺産分割の協議において検討すべきものと思いますが(遺産分割のなかで立ち退きの上マンションを売却することの合意が得られれば問題ない)、少なくとも結論が出るまでは、使用貸借契約(タダで貸す契約)が推認されてマンションをつかっていいよと解されることもあるでしょう。
 建物の明渡し請求をしても、配偶者にも使用の権原があるとされたり、明渡し請求は権利の濫用だとされるなどして、立ち退きを強制するのは難しいのではないかと思われます。


収益不動産が遺産に含まれるいる場合について

遺産に収益物件が含まれている場合、遺産の評価額を決めるにあたって注意すべきことはありますか?誰に相談するのが良いのですか?

 収益物件が含まれる場合、代償金をもらう側は、その収益力を評価して高く評価してほしいと思うでしょうし、逆に代償金を払う側は、収益力を格別に評価するべきではないと思うでしょう。
 実務上は、収益物件だからといって、簡単に評価増していないのではないかと思います。
 この点、税務的な考え方を参考にしつつも、遺産分割の時価評価に強い専門家が望ましいため、税務にも詳しい弁護士に相談するのが良いと思います。

遺産である賃貸物件から発生する収益を1人の相続人が独占している場合どうすれば平等に分配できますか?

 何を平等というかによりますが、収益の一部をお支払いいただく余地はあります。
 被相続人の死亡後に賃貸物件から発生する収益は、法定相続人が法定相続分に応じて当然承継するとされています。誰かが収益を独り占めしている場合は、それが不当利得であるとして、返還を求めることができるでしょう。
 なお、被相続人の死亡前に賃貸物件から発生する収益は、本来、遺産に組み込まれるはずのものですから、遺産と理解して分割対象にするのか、もし賃料を相続人個人の名義で受領していたら遺産が相続人個人の財産と混ざってしまうため、不当利得として検討することになるのか、いずれにせよ独り占めしている不平等を是正する方法はあると言えるでしょう。

父が亡くなってから遺産分割協議が終わるまでの収益物件の賃料は誰のものになるのですか?

 遺産とは別個の財産として、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するとされています。つまり、遺産分割など何もしなくとも、当然に、自己の相続分に応じて、賃料を支払えという権利を取得することになります。ご質問への回答としては、共同相続人全員のものとなると理解してよいものだと思います。
 もし、共同相続人全員の合意があれば、遺産分割の対象として、協議・調停・審判により解決することも可能です。


不動産の評価について

不動産の時価評価額はいつの時点のものが有効ですか?

 遺産評価の基準時は、基本的に遺産分割時を基準時としますが、特別受益・寄与分が問題となる場合は、具体的相続分の算定にあたり、相続開始時を基準時とします。
 この2時点の時価評価が有効と言えるでしょう。

遺産分割協議をするために不動産を評価したいのですが、評価額はどうやって確定するのですか?誰の意見を参考にすべきですか?

 不動産は一物多価と言われ、実勢価格、公示価格、路線価、固定資産税評価額など、さまざまな目的で、さまざまな資料が作成されています。こうした資料を参考に、基本的には話合いにより合意形成を目指しますが、合意ができない場合、最終的には裁判所鑑定により定めることになります。なお、当事者が個別に行う私的鑑定は、どうしても客観性が疑われ、あまり採用いただけないのが実情です。高いお金を支出してまで私的鑑定を検討することはおすすめできません。協議の材料とするには公的資料がある程度有効な資料になるでしょうし、最終的に参考にすべきは裁判所鑑定の鑑定人の意見ということになると思います。

相続放棄について

相続放棄したら、財産の管理はしなくても大丈夫ですか?

 財産管理は必要です。相続放棄したらはいおしまい、というわけでもないので、この点は注意が必要です。
 「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産と同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」(民法940条)とされているため、注意しましょう。
 問題になるのは、例えば、相続財産のなかに古いボロボロの建物がある場合などです。倒壊して誰かにけがをさせてしまったりすると、相続放棄後にも責任を負わされることはないのか?などと心配してご相談いただく場合も多いです。相続放棄によって次順位の相続人が相続財産の管理を始めるまでは、相続放棄をした者に管理の義務があるわけですので、責任を負わされる可能性もないとは言えません。このような場合、私の経験では、カラーコーン等で「危険」というテープを建物のまわりにめぐらせて、周囲に近づかないようにアナウンスをするなど、できる範囲で対応したことがあります。

相続放棄はいつまでにしなければいけませんか?

 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月の熟慮期間内に相続放棄をしなければなりません。「死亡時」「相続時」が起算点ではなく、相続の開始があったことを「知った時」からであることがポイントです。
 相続放棄のためには、自分が相続人であることを証明するため、少なくとも、被相続人の生まれてから死亡するまでのすべての戸籍が必要になります。事案によっては、この戸籍の収集が大変な事案もあり、時間が掛かることもしばしばですので、3か月などあっという間に過ぎてしまうことが多いです。できるだけはやめの着手が望ましいです。
 どうしても間に合わなさそうなときは、別途、家庭裁判所に熟慮期間延長の申立てをして、期限を延ばしてもらうなどの工夫が必要です。
 被相続人が亡くなってから、かなり時間が経ってしまっていたとしても(もちろん虚偽申告はしませんが)あり得る範囲で、「知った」日がいつかという起算点の解釈論により、相続放棄ができるように試みることもあります。 

被相続人の死亡から3ヶ月が経過した後でも相続放棄できますか?

 熟慮期間(3か月)のスタート時点(起算点)は、「自己のために相続の開始があったことを『知った時から』」です。死亡時からではありません。
 被相続人と近しく、ほぼ被相続人死亡と同時に死亡の事実を知ることができる立場にある者ですと、実質的には被相続人の死亡から3か月間が相続放棄ができる期間、となります。しかし、実際に被相続人の死亡を知ったのが死亡より後であれば、そのことを主張して相続放棄をすることはできるでしょう。
 相続放棄を行う動機は、ほとんどの場合、被相続人に多額の借金がある、又はわからないけど借金がありそうで、借金を引き継ぎたくない(反面として、ほしいプラスの財産もない)という場合です。
 そうすると、死亡から3か月が経過した後に借金が発覚した事案などでは、慌てて相続放棄をしたいと考える方もおられるでしょう。このような場合は、あきらめず、ひとまずはすみやかに家庭裁判所に相続放棄の申立てをするようにおすすめしています。その際の起算点は、借金についてわかった時、などを主張するとよいでしょう。
 最高裁の判例によると、①被相続人に相続財産が全くないと相続人が信じていたこと、②その事実を信じることにつき正当な事由が相続人にあること、③被相続人と相続人との関係、その他の事情により相続財産の調査をすることが著しく困難となる事情があること、といった特別事情がある場合は、仮に相続人が被相続人の死亡の事実と自分が相続人になった事実を認識したときから3か月を経過した後であったとしても、相続放棄が認められています。
 相続放棄については、借金を引き継ぐか否かという重大な効果が発生するかどうかの分かれ目でありますので、必要だと感じたら、厳密に要件を検討するよりも、ひとまずは家庭裁判所に相続放棄を試みてみるという姿勢も必要かもしれません。

相続放棄をした後に撤回できますか?

 基本的にできません。仮に、熟慮期間(3か月)内であったとしてもです。
 相続放棄は、相続人であるはずの者が、相続人の地位を喪失するというドラスティックな法的効果を生む者である上、これは1人だけで完結するものではなく、他の相続人にも影響を与える行為ですので、いったん相続放棄したにもかかわらず撤回(取消し)をするということは認められておりません。
 しかし、詐欺又は強迫による場合、未成年者が法定代理人の同意を得ないで相続放棄した場合、成年被後見人本人が相続放棄した場合、後見監督人がいるにもかかわらず、被後見人若しくは後見人が後見監督人の同意を得ないで相続放棄した場合、被保佐人が補佐人を同意を得ないで相続放棄した場合、などの特殊な場合には、家庭裁判所に撤回、取消しの申立てを行い、認められることがあるとされています。
 なお、相続放棄の申述が受理される前であれば、未だ相続放棄の効力は発生しておらず、他の相続人や利害関係人の法的安定性に影響はなく、相続放棄の申述を取り下げることはできます。

相続放棄しても生命保険金を受け取ることはできますか?

 できます。
 相続放棄は、相続人としての地位を放棄するものですので、相続財産を引き継ぐことはできなくなりますが、生命保険は受取人固有の財産と理解されており、相続財産とは区別されます。生命保険は、あくまで、契約(約款の内容が契約内容と理解してよいと思いますので、約款と言ってもよいでしょう。)により、被保険者の死亡という条件が満たされることにより、お金(保険金)が支払われるというもので、相続により取得したのではなくあくまで契約により取得するものですので、相続財産ではないのです。
 生命保険をうまく使えば、借金は相続放棄により引き継がせず、積極財産は保険により引き継ぐことができるといった工夫もできるわけです。
 このようなことをすると、相続放棄が詐害行為に該当するとして取り消されるのでは、と心配になるかもしれませんが、相続放棄は詐害行為取消権の対象にならないとする最高裁の判例があり、安心できます。

相続放棄すると遺族年金や未支給年金はどうなりますか?

 遺族年金は、相続とは別個に、遺族の保護のため、受給権者と支給方法を定めているものであるので、受給者固有の権利として、相続財産とは理解されておりません。
 未支給年金は、被相続人と生計を一にしていた者に請求権があるため、未支給年金は請求権のある人の財産となり、相続財産には含まれません。なお、受け取った方の一時所得となります。
 そうすると、相続財産ではありませんので、相続放棄をしたとしても、別個に受給の要件を満たしていれば、受給ができることになります。
 ただし、弊所では、念のため、相続放棄まで待てるものは、疑義を生じさせないため、手続を待ってもらって、相続放棄後に問題がなさそうなものを再検討して受給するという方法をおすすめしています。法定承認という制度があり、要は、相続人しかできないような行為(相続財産を使うなど)をした人は、その行動が相続を承認したものと変わらないから、相続放棄は認められない、というものです。万が一にでも法定承認事由には該当しないように気を付けなければならないですので、気を付けておく必要があるでしょう。ご依頼者様から「これはもらっていいですか?」ということもよく聞かれますが、電話口の話からだけだと本当にここでいう遺族年金や未支給年金の話なのかわからないことも多いため、書類を確認したり、担当窓口の方に念のため支給の趣旨を確認するなどして、確認に努めています。

親が借金を残したまま死亡した場合は相続放棄すれば支払わずに済みますか?

 はい。
 相続放棄をすると、相続人の地位自体を放棄することになりますので、プラスの財産も、マイナスの借金も、何も引き継ぐことはない、ということになります。
 被相続人に借金がある、又は借金が疑われるが全容がわからない、という場合には、特段欲しい財産がなければ、相続放棄するのが無難です。
 手続の方法が分からない方は、専門家に相談してみましょう。
 相続放棄には時間制限がありますので、できるだけはやめに検討することをおすすめいたします。

遺産分割について

遺産分割協議書は必ず作らなければいけないのですか?

 少なくとも、遺産分割協議書を作成しないといけないとする法律の定め等があるわけではありません。罰則等があるわけでもありません。
 実際、遺産分割がなされず、登記等の処理もされず、何代も前の名義のまま放置されている不動産などはそれなりに見かけます。
 遺言書があれば、それに基づいて処理をすることが多いでしょうから、そもそも作成する必要がない場合もあります。しかし、遺言が遺されていない場合は、相続の都度都度、しっかりと遺産分割の処理をして、その成果物である遺産分割協議書も作成していただきたいと思っています。
 財産関係の処理をするためというのはもちろんですが、被相続人が遺した財産ですから、その財産の処理まで終えてはじめて、被相続人の人生もしめくくれたと言えるのではないでしょうか。
 相続登記をせずに放置してしまうと、後の世代が困ることもしばしばです。2024年4月1日には相続登記が義務化もされます。その都度都度、(遺言書がない場合は、)きちんと遺産分割をして、その成果物たる遺産分割協議書を作成いただきたいと思っています。作成が難しいという場合は、専門家にご相談ください。

相続人に認知症の者がいる場合はどうなるの?

 認知症の程度によりますが、判断能力がなくなっているという状態であれば、とても遺産分割などできる状態とは言えませんので、協議や調停が難しくなってしまいます。
 遺産分割は、基本的に全員の合意が必要ですので、協議・調停に支障が生じてしまいます。別途、後見人等選人の申立てを行い、本人の意思決定を支援いただける方を裁判所に選任いただいた上で、当該後見人等と協議することになるでしょう。(あるいは、縁起でもありませんが、本人が亡くなった際に、本人の相続の問題として検討するほかなくなるのではないかと思います。)

相続人に未成年者がいる場合はどうなるの?

 相続は、いわば1つのパイを、相続人がとりあうような性質のものでして、相続人間では、だれかが得をすればだれかの取り分が減るという関係にありますので、客観的に、相続人間では、利害が対立する関係にあります。これを利益相反といいます。
 本来、未成年者の法定代理人は親権者になりますので、基本的には存命の親が未成年者を代理して遺産分割協議をすることになりそうですが、親自身も相続人になっている場合、未成年者の地位も代理してしまうと、上に見た利益相反関係が生じ、適切な処理ができなくなってしまいます。
 そこで、裁判所に申し立てて、未成年者の代わりになる特別代理人という方を選任していただいて、この方と協議をすることになります。
 とはいえ、こうした手続は非常に煩雑ですし、特別代理人のための費用の支払いなども発生するため、費用がかさみます。
 特別受益の制度を利用して、特別代理人の選任などをせずに登記をする方法があるなど、いわば裏ワザのようなものもあるようですので、詳しくは専門家(ここでは司法書士さんがよいでしょう)に相談してみるのが良いのではないかと思われます。

遺産分割にはどんな方法があるの?

 被相続人の死亡時の財産(現物)を法定相続人で分割する、現物分割が基本です。
 しかし、財産のなかには、預貯金等ならともかく、不動産など綺麗に現物で分けるのが難しい財産もあります。不動産は共有にするのは避けるべきものですので(全員の合意がないと処分できなくなる。)、どなたか相続人の1人が取得して、あとはお金で精算するという方法をとることもあります。これが代償分割で、実務ではかなり頻繁に利用されているのではないでしょうか。
 また、相続人全員が同意するのであれば、相続財産(わかりやすいのは不動産)を売却してお金に換えた上で、売却代金から必要経費等を差し引いた残金をみなで分けるという方法もとられており、これを換価分割といいます。
 最終的には、共有のまま分割する(共有分割)という方法もなくはないですが、共有状態のままだとさまざまな問題が生じますので、必要がなければ、又は最終的にどうしようもない場合でなければ、共有分割は避けるというのが通常ではないかと思います。

遺言の内容と異なる遺産分割はできますか?

 できます。
 遺言書がある場合、遺言を遺した故人の意思を尊重するのは当然ですが、一方、相続人全員が合意している場合には、存命の相続人らの意向を尊重して遺産分割協議が認められます。あくまで全員の合意があればですが、亡くなってしまった方よりも、いま生きている方のご意思が尊重されるわけですね。
 ただし、遺産分割協議が遺言で禁止されている場合には、遺産分割協議はできません。また、相続人以外に受遺者がいる場合は、受遺者の権利を一方的に奪うことはできませんので、遺産分割協議はできません。受遺者が同意していればできます。
 遺言執行者がいる場合、相続人らだけでなく、遺言執行者の同意も必要です。
 もし、既に遺言書による処理をしてしまっている場合に、再度、遺産分割協議で処理をするということになる場合、いわゆる再分割に該当しますが、この場合、遺言書で処理された法律関係については相続税の問題になり、再分割をした際にはいったん遺言書で確定した法律関係を再度動かすと考え、贈与税の対象になりますので、余計に税金がかかるかもしれないという問題があります。安易な再分割がなされないよう、当初からしっかり検討しておくことが大切です。

遺言がない場合、残された財産はどうやって分けるのですか?

 遺産分割協議で分けます。遺産分割は、基本的に、全員の合意が必要です。協議が難しい場合は、裁判所の力を借りて検討をしなければなりません。調停という話合いの手続になりますが、話がまとまらないときは、審判という、裁判所が一方的に決めてしまう手続も用意されています。協議や調停による場合、分け方は、相続人の意向次第で自由です。見解が離れてまとまらないような場合には、法定相続分を目安に分けることが多いでしょうが、相続財産のなかには、不動産のように、評価が難しい財産もあり、自分の相続分だけがわかっていても、最終的な分割にはたどり着けず、財産の把握・評価といった難しい問題をまずはクリアしなければなりません。いずれにせよ、全員の合意により協議又は調停をまとめることにより、残された財産を分けることになるでしょう。

寄与分について

寄与分が認められるのはどのような場合ですか。

 前提として、「特別」寄与などとも言われるくらいですので、通常の寄与では認められず、ハードルは高いものであることを押さえておく必要があります。相続人には被相続人の扶養義務があることが多く、かなり努力していたとしても、「扶養の範囲内でしょ」で終わってしまうこともしばしばです。また、あくまで、寄与分というのは、相続という限定された局面に関する議論であり、相続というのは基本的に財産を扱うものですから、「財産の増加に対する寄与」が問題になるものです。単に、被相続人のためにこれをした、あれをしたというだけでは、裁判所ではなかなか取り合ってくれないというのが現実で、あくまで財産の増加に対する寄与についての説明が求められるところであり、主張する相続人の意識が疎かになりがちな部分にもなります。
 このような寄与分が認められる場合というのは、ある程度類型化されており、①家業従事型(労務の提供)(たとえば、被相続人の事業に労務に見合った報酬を得ることなく、長期間従事した場合)、②金銭等支出型(財産上の給付)(たとえば、子が親に対し、被相続人の家屋の新築、新規事業の開始、借金の返済などのために、金銭を贈与する場合)、③扶養型(たとえば、相続人が被相続人を扶養して、被相続人が出費を免れたために相続財産が維持された場合)、④療養看護型(たとえば、相続人が看護や介護が必要になった被相続人の身の回りの世話をして、それにより、被相続人が本来支払わなければならない費用を免れ、被相続人の財産の維持に貢献した場合)、⑤財産管理型(たとえば、不動産の管理、修繕費用の支出)、などが認められると言われています。
 なお、こうした、認められるための要件も厳しいですが、これが認められると、次に、寄与分を具体的にいくら計上できるのか、その範囲・金額などが問題になります。
 ぜひ、専門家の意見も参考にしながら、検討をいただきたい項目になります。

相続人ではなくても寄与分を主張することはできますか。

 できません。
 「共同相続人中に、…特別の寄与をした者があるとき」は寄与分の問題になります。あくまで相続人の寄与が問題です。
 なお、相続法改正により、特別寄与料請求という制度が新設されましたが、特別寄与料の請求権者は、相続人以外の被相続人の親族とされています。この請求は、範囲は限られているものの、相続人以外の寄与も検討できるという意味で、相続人でなくても寄与分を主張することができると考えて差し支えないものです。

特別受益について

特別受益に該当するものはどのようなものがありますか。

 質問への直接の回答になっていないかもしれませんが、特別受益に関しては、まずは基礎となる考え方をしっかりと理解しておかないと、判断を誤ることもあるかもしれません。「特別」受益というからには、通常の受益であれば取り上げませんので、基本的にはそう簡単に認められるものではない、ということを、まずは押えておく必要があります。
 この制度は、相続人間の人生全体での不平等を是正する制度ではなく、あくまで相続という限られた局面のなかにおいて、遺産の前渡しといえるものがあれば、さすがにそれは考慮しないといけないよね、という発想の制度です。あくまで、「遺産の前渡し」かどうかに着目するべきで、認められる範囲は非常に限られていると思ってよいと思います。よく、何でもかんでも何らかお金を受け取っていれば、すぐに特別受益だと主張している方をお見掛けしますが、そういうものではありませんよ、ということは注意をしておいていただいた方がよいと思います。
 特別受益は、ある程度類型化されて議論され、要件もそれなりにきっちり議論されている寄与分と比べると、あまり明確な類型も定まっておらず、特に難しい問題という印象です。
 さて、そんな特別受益ですが、たとえば、学費に関しては、親が子の能力に応じて差配して、だれにどの程度お金をかけるかも決定するものであって、きょうだい間で支出した金員に差が出たとしても、それは親の扶養の範囲内の差配というふうに考え、特別受益にあたらないとするのが一般かと思います。しかし、それも程度問題というところもあり、たとえば、私大の医学部の入学金、学費などはけた違いに高額なので、これらは特別受益と認める余地があるとも言われています(親の強い希望で医学の道に進むことになったなどの事情がある場合は、子どもが利益を受けたというよりは、親の利益のために子どもが希望をかなえてあげたというような関係になりますので、そういう場合は特別受益にはならないでしょう。あくまでケースバイケースです。)。
 また、生命保険は、そもそも相続財産ではありませんが、その保険金が、相続財産に比してかなり大きなウエイトを占めている場合などは、事案によっては特別受益に準じて持戻しの対象になるとされており、生命保険金の金額が大きい場合にはこの辺りへの注意も必要になってくるでしょう。

特別受益財産の評価額はどの時点のものですか?

 相続開始時を基準とします。(贈与時ではありません。)

その他

生命保険金は遺産(相続財産)に含まれないのでしょうか。

 含まれません。
 生命保険金は、「死亡によって」発生する相続と異なり、「死亡保険の契約で定めていたから」お金が支払われるものであり、相続とは別個の、受取人固有の財産だと理解されています。(ただし、受取人が故人になっている場合は、生命保険金が遺産にまざってしまうため、結局、相続/遺産分割の問題になります。)
 なお、相続税の計算においては、「税金を払う力」があるかどうかに着目しますので、生命保険金を受け取ったら税金を払う力は上がるでしょうということで、生命保険も(遺産ではないけれど)遺産とみなして計上するという扱いになっています。

投資信託は遺産分割の対象となりますか

 なります。
 投資信託とは、多数の投資家が投資信託の販売会社を通じて拠出した資金を、投資専門家が株式等の有価証券・不動産等に投資し、その投資運用によって得た利益を投資家に分配するという金融商品です。
 投資信託の投資家には、投資信託の運用によって得た利益の分配を受ける権利(収益分配請求権)や投資信託を解約又は証券会社等に対する受益証券買取を請求する権利(償還金請求権)があります。
 こうしたプラスの財産は、当然、相続の対象になりますが、その引き継ぎ方が問題です。
 請求権であることを重視すると、可分債権(目には見えない請求権のことだと思ってください。)は遺産分割を要することなく当然に(自動的に)法定相続分によって承継されるという考え方に基づいて、遺産分割の対象にならないのではないか、という疑問が生じてきます。そこで、投資信託が遺産分割の対象となるのか、それとも遺産分割をせずとも当然に法定相続分で承継されるのかが問題になるのです。
 しかし、投資信託の受益権は、口数を単位としており、一単位未満での権利行使が認められていません。投資信託の投資家には、収益分配請求権や償還請求権だけでなく、信託財産に関する帳簿書類の閲覧又は謄写の請求等の委託者に対する監督的機能を有する権利もありますから、投資家の有する受益権は、純粋な可分債権とは言いにくいのです。投資信託は、可分債権として法定相続分で当然承継されるのではなく、遺産分割の対象になるとされています。
 (ただし、もし、相続人い当然に分割承継される投資信託が金融商品として開発された場合はどうでしょう。もしかしたら、遺産分割の対象にならないという考え方もできないわけではありません。)
 ところで、遺産分割の対象になるか、ならない(法定相続分で当然に承継されるか)が、なぜ重要なのでしょうか。どちらも引き継ぐのであれば変わりないのではないか、と疑問に思った方もおられるかもしれません。
 しかし、前者であれば、特別受益や寄与分など、具体的な相続分の検討において、修正ができないかが議論の対象になり得ますが、当然承継の後者であれば、そうした議論ができなくなります。事案によっては、かなり結論が変わってくる(ものすごく特別受益があって、本来は遺産分割では何ももらえそうにない人が、当然承継のものだけは財産を手にする、など)可能性もありますので、この点の議論の実益があるのだと言えるでしょう。

代襲相続とは何ですか。

 「代」わりに「襲」ぐことです。法定相続人は、配偶者は必ず、その他①子ども、②子どもがいなければ直系尊属(基本的に親)、③子どもも直系尊属もいなければ兄弟姉妹、になっています。では、この法定相続人が亡くなっていたら?たとえば、①のケースで、被相続人の子どもが亡くなっていたら、さらに下に降りて、孫が代襲することになります。①子どもに関しては、必要があれば何度でも代襲しますが(再代襲がある。)、③の兄弟姉妹については代襲は一代限り(再代襲なし)とされています。

特別縁故者とは何ですか。

 相続人がいない場合(相続放棄の結果、結果的にそうなった場合も含みます。)、遺産が宙に浮いた状態になってしまうため、裁判所が相続財産管理人を選任し、この人が遺産の処理をすることになります。
 まずは改めて相続人を探し、みつからなければ、返すべき借金は返した上、残った財産をどうするかが問題になります。
 その遺産に特別な縁故がある方がいれば、その方に財産を引き継がせるのが適切と考えて、特別縁故者の制度が用意されています。特別縁故者とは、故人と特別に親しかった者、遺産とのかかわりの深い者と考えていただいてよいのではないかと思います。特別縁故者と考える者が、申立てをして、裁判所に認めてもらえれば、遺産を引き継ぐチャンスがあるということです。特別縁故者もいない場合、最終的には、財産は国庫に帰属することになります(共有の不動産があれば、共有者がその不動産を取得することになります(共有の弾力性))。

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