委任契約は、委任者の死亡によって終了すると定められています(民法653条1号)。
基本的には、通常の委任契約や任意後見契約などに基づき、被相続人の生前の財産管理を行っていたとしても、当然に死後事務まで行う権限があるということにはなりません。
ただし、一方で、この規定は強行規定ではなく、合意により死後事務の委任を認めることはできるとされています(最高裁H4.9.22判決)。
死後の事務には、以下のようなものがあります。
- 公共料金、家賃・地代、医療費・入院費、福祉施設利用料などの支払い
- 葬儀
- 賃借建物明渡し
- 不要な生活用品の処分
- 施設入居一時金の受領
- 埋葬・墓石建立・菩提寺の選定に関する事項
- 相続人不存在の場合の相続財産管理人の選任申立 など
多岐にわたりますね。
後々、受任者が行った支出が、本来は許されないものだなどとして、相続人から訴えられるなどの紛争を防止するためにも、死後事務についての委任契約を明確化しておく必要がないか、検討しましょう。
財産管理契約(通常の委任契約)・任意後見契約・死後事務委任契約をセットで検討して、公正証書化することが多いです。