どうして定められたか
改正相続法の目玉と言われている制度です。旧法下では、判例法理による保護や、実務の工夫により、居住配偶者の保護を図っていましたが、今回、配偶者の保護を強化するという改正法の目的に沿って、明文として、配偶者居住権及び配偶者短期居住権の制度が定められました。
配偶者居住権とは何か
居住建物の所有権を相続しない配偶者相続人に、原則として終身の間、無償で生存配偶者が自宅に居住することを認める制度です。
短期配偶者居住権とは何か
配偶者相続人が、居住建物を、一定期間、無償で使用することができる権利です。
要件・効果はどうか
各制度の要件・効果を比較する形でまとめましたので、ご参照ください。
評価はどうするか
配偶者居住権が認められる場合、遺産分割の際、当該権利の評価が必要になりますが、実務の蓄積を待つ必要があります。
なお、税務的には、平成31年度税制改正大綱に、いくつかの場合の税務上の計算方法が示されており、こちらも参考にしていくことになるでしょう。
内縁配偶者の保護をどう図るか
残された課題は、法律上の配偶者ではなく、事実上の内縁配偶者の保護をどう図るかです。
借地借家法36条、黙示の使用貸借、権利濫用など(最高裁H10.2.26,大阪高裁H22.10.21判決等参照)実務の努力により、さまざまな法律構成が考えられています。