まちの相続相談所

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解決事例

目次

10名を超える相続人。一部の合意が得られず、遺産分割がとん挫しかけたが…

相談者の属性

 多数いる法定相続人の1人

争点

 ほとんどの方において、相談者がすべての遺産を取得することに異論がない状態で、どのように遺産分割を成立させ、不動産の登記をするか。

相談に至った経緯

 はじめは司法書士に相談し、何とかして不動産の登記をしようとしたが、これが奏功せず、弁護士のところに相談が持ち込まれた。

弁護士が対応したこと

 家庭裁判所に調停を申し立てた。裁判所にあらかじめ事情を説明し、通常のように相続人みなが集まって話し合いをする形でのやり方ではなく、弁護士が見通す解決方法を示して、早期の解決を目指した。交渉段階で異論があった方に裁判所からアンケートのようなものの回答を求めてもらったところ、反応なしか自分の持ちのお金が欲しいというものであった。裁判所から、同人らには代償金(法定相続分にみあったお金)の支払いをする前提で、相談者がすべて遺産を取得するという内容の「調停に代わる審判」を行っていただいた。

結果

 調停に代わる審判に異議が出されなかったため、これが確定し、無事、不動産の登記(や預貯金の解約等)ができた。

青天の霹靂!遺留分侵害額請求って何?

相談者の属性

 被相続が「遺産をすべて相談者に相続させる」という遺言をのこしており、当該相続人(子)。別の相続人から、遺留分侵害額請求を受けた。

争点

 遺留分として、相談者が相手方に対し、支払わないといけない金額がいくらか。

相談に至った経緯

 相談者は、遺言に基づいて、相続の処理は終わっていると思っていたら、突然、別の相続人から、遺留分侵害額請求訴訟を提起された。相談者は、当初、顔見知りの行政書士に相談していたが、その紹介を経て、弁護士が対応することになった。

弁護士が対応したこと

 時効にかかっているなどの事情もなかったため、一定の支払いはやむを得ないという事案だった。計算のおおもとになる財産から差し引くことができるものがないかを検討し、既にお支払いしていた被相続人の施設利用料などをかき集めて、控除すべき債務として、数十万円単位で差し引いてもらった。また、法的には、控除できるものにはあたらないという見解があるが、多額の葬儀費用も負担していたため、早期に和解に応じることを前提に、葬儀費用に相当する金額の一部も差し引いてもらった。

結果

 本来お支払いするべきと思われる金額から50万円以上の減額をし、かつ、他に被相続人の位牌の取り扱いをこちらの希望どおりにする、本件を踏まえて両者を以後接触禁止にするなど、相談者の望む内容で和解に至った。なお、遺産のほとんどが預貯金だったため、支払いには苦労しなかった。

怖い!カード会社からの督促

相談者の属性

 法定相続人全員

争点

 被相続人の債務がわからない状態で、どのような対処をとるべきか

相談に至った経緯

 被相続人が亡くなって少ししたころ、カード会社数社から手紙が届き、相続人らは驚いた。被相続人に借金があるとは把握していなかったが、内容確認する限り、ある程度はありそうだ。他に借金があるかもわからない。どうしたらよいかわからず、弁護士のところに相談にきた。

弁護士が対応したこと

 欲しい財産がないかを確認したところ、特にそのようなものはなさそうだった。そうすると、借金を引き継がないためにも、相続放棄を検討することになる。熟慮期間(相続放棄ができる期間。3か月)の満了が迫っていると思われたため急いで着手。熟慮期間延長の手続とともに、そもそも熟慮期間のスタート地点が「借金があるかもと疑って弁護士からアドバイスを受けた時点」と主張して、相続放棄は可能であることを主張。被相続人の預貯金から、葬儀費用などの払い戻しをしており、法定承認(相続人のような行動をしていることで、法的に当然に相続を承認したと扱われること)に該当しないかが問題になったため、裁判例を引用するなどして相続放棄は妨げられないと主張した。

結果

 家庭裁判所が相続放棄を受理し、無事に手続を完了した。また、第1順位の相続人が相続放棄をした後は、第2順位の相続人の相続放棄も検討した。

遺産分割がまとまらない…私はここに住んでいていいの?

相談者の属性

 建物に住んでいる者。何代も前の相続から土地建物ともに相続登記未了の状態になっている。

争点

 土地建物の登記名義を、居住者名義にできるか。

相談に至った経緯

 司法書士に相談していたが、調べたところ土地に関係する相続人が何十人もいて、手紙を出してもほとんどの人から反応がなかったため、どうしてよいかわからず、弁護士に相談に来た。

弁護士が対応したこと

 人数の多さ、従前の反応からして、遺産分割を成立させるのは相当に困難であると見込んだ。一方、20年以上居住しているという事実や固定資産税を支払っていたなどといった事実から、取得時効を援用し、時効を原因として相談者名義の登記をするという方針を立て、訴訟提起した。

結果

 判決により、無事、自己名義にできた。これだけ揉めながらも、税理士につないで、きちんと相続税申告もすることができた。

長男は何やってもいいの?!姉妹にもきちんと遺産分割してほしい!

相談者の属性

 法定相続人(子)のうち2人(姉妹)

争点

 ①生前を含め、長男が払い戻している多額の預貯金をどのように評価するか。
 ②特別受益がないか。

相談に至った経緯

 被相続人の預貯金の払戻しの履歴を取得した相談者らが、長男だからといって被相続人の財産をあたかも自分のものであるかのように払い戻していることに疑問を持って、相談に来た。

弁護士が対応したこと

 履歴の精査をし、長男が利得したであろう金額をもとに財産目録を作成した。長男は、葬儀費用などさまざまな負担をしているからと減額を主張しているが、自宅不動産の生前贈与を受けていたり、その他長男として恩恵を受けていたことなどを指摘して、淡々と現存する金員について分割を求めることができた。

結果

 当初想定していたラインに近い金員をお支払いいただく形で解決ができた。

なぜ面倒も見てないあの人が?

相談者の属性

 法定相続人の1人であり、被相続人の生前、同人の看護等に尽くしていた方

争点

 ①相談者が生前に払い戻したお金の取り扱い
 ②看護等に尽くした点を特別寄与として考慮できるか

相談に至った経緯

 疎遠だった別の相続人から突然調停を申し立てられ、弁護士に相談に来た。

弁護士が対応したこと

 被相続人の心身の状態を立証し、払い戻しをしたのは本人であること、又は相談者がその補助をしたに過ぎないことを主張し、わかる範囲で払い戻されたお金の使途も説明した。相談者が利得した使途不明金ではないということを説明した。特別寄与についても、前提となる被相続人の状況と、介護の内容、相談者の生活状況などを主張・説明・立証していった。

結果

 払い戻しの金額が大きかったため、ゼロにはならなかったが、ある程度、先方の主張をブロックできた。看護等のご苦労も一定程度評価した上、一定の支払いをすることで解決をした。

みな言いたい放題でまとまらない…

相談者の属性

 法定相続人の1人。被相続人には、生前、成年後見人がついており、多額の遺産が確認できている。

争点

 ①生前の多額の払い戻しの有無、その取扱い
 ②特別受益の有無

相談に至った経緯

 生前のうちから、相続人である兄弟姉妹が、各々、何十年も前の話も含め、さまざまな主張を行い、各々が各々に対し、利得をしているはずだから考慮せよという主張を繰り返していた。成年後見人が就いた1つのきっかけも、このような諍いがあったからである。被相続人の死後、協議でまとまる見込みが薄かったため、弁護士に相談に来た。

弁護士が対応したこと

 早期に調停を申し立てた上、相続税申告の協議もしながら、現存する遺産の分割に注力した。各々が主張している内容は、納得の問題から、預貯金の履歴など、裏付けができるものがないかという点を検討し、想定される調査は行ったうえで、相当以前でもはや裏付けができないような主張については調停での検討対象から外していただいた上で、何とか遺産分割を成立させることを目指した。

結果

 相続人間でなかなか納得がいただけず、1年以上の期間は要したが、何とか、おおむね現存する遺産を法定相続分で分ける方向性で和解ができ、相談者も多額の金員を手にした。

何の問題もなさそうな遺言なのに…

相談者の属性

 法定相続人の1人で被相続人の妻。すべての「所有物」を遺贈する旨の自筆証書遺言があり、その受遺者。

争点

 ①遺言の解釈として、預金の払い戻し請求権も承継できるか。
 ②自宅不動産の登記ができるか。

相談に至った経緯

 当初は、自筆証書遺言があるため、検認をした上、遺言内容の実現をするためのお手伝い(手続代行)の相談であった。しかし、金融機関が預貯金を払い戻してくれなかったり、自宅不動産についての被相続人から相続人への登記名義の移転に支障があったため、トータルで法的手続をサポートした。

弁護士が対応したこと

 ①金融機関が「所有『物』」には預金債権は含まれないという解釈を展開し、払い戻さなかったため、訴訟提起して、当該遺言はすべての財産(預金債権を含む)を妻が承継するという趣旨である旨を裁判所に認めてもらい、判決で多額の払い戻しを実現した。
 ②「遺贈する」という文言の遺言であったため、登記手続において、法定相続人全員の協力が必要になるが、この協力が得られなかった。そこで、遺言執行者選任の申立てをし、遺言執行者の印で登記手続ができるように見通して手続をした。

結果

 当初想定していたよりも時間・費用・労力は掛かってしまったが、無事、遺言の実現をすることができ、相談者も自宅不動産や多額の金員を手にした。

母の財産が食い物にされている?!使途不明金問題の追及

相談者の属性

 母(被相続人)が同じ、異父きょうだい2人のうち1人

争点

 いわゆる使途不明金問題の処理

相談に至った経緯

 既に提訴して、訴訟も進んできている段階での、引継ぎ事件。被相続人と一緒に住んでいた異父きょうだいの相手方が、どうやら短期間に被相続人の預貯金から多額のお金を払い戻したり、相手方の子への贈与と称して多額のお金を移動させるなどしているようで、不透明なお金の動きが確認できたため、弁護士に相談し、遺産分割調停で解決を図ろうとしたものの、使途不明金問題につき決着がつかずに、提訴にまで至った事件。

弁護士が対応したこと

 引継ぎ前の和解案が300万円程度だったようであるが、弁護士の感覚としてもあまりに低すぎると考え、立証責任、使途不明金問題の考え方などの法律論から見直したうえで、使途不明になっている部分のお金は不当利得であるとして、まとまった書面を出し直し、尋問まで行った。判決前の和解案では750万円程度の提示があったが、相談者としても納得できなかったため、判決(約950万円)を得た上で、控訴し、最終的に約1100万円程度で和解ができた。

結果

 金額もある程度納得のいく金額をお支払いいただき、和解の形で有利な解決ができ、相談者も大変満足頂いていた。

えっ!分け終わったと思ってたのに…

相談者の属性

 法定相続人(子)の1人

争点

 ①現存する預貯金の分割
 ②生前にきょうだいがリードして分けたお金(注:被相続人名義の預貯金から払い戻したもの)の処理

相談に至った経緯

 ②について、相談者は、被相続人の意向が反映され、きょうだいのリードのもと、既に分けてもらったと思っていた。ところが、後に、そのお金を「返せ」(?)と言われるようになった。長い間解決ができず、悩んでおり、弁護士に相談に至った。

弁護士が対応したこと

 ①については淡々と遺産分割の処理ができるよう、遺産の特定、評価をして財産目録を作成した。

 ②については、被相続人の預貯金の払い戻し履歴も参照し、きょうだいが差配したお金に関するみなの認識もすり合わせながら、できる限りみなの納得のいくような説明、処理を目指した。資料の参照、説明、他の相続人からの反論、それに対する説明…と回を重ねた。

結果

 なにより、遺産分割をまとめて、紛争を終わらせることができた。②についてもおおむねみなが納得のいくラインを見つけることができ、相談者がたくさんのお金をお支払いしなければならないということもなかった。

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